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いる。彼の言によると、オンブズマンの未来がいかなるものであるか、オンブズマンが制度として今後成長を続けるかどうかは、オンブズマンが社会の人々の期待に応じられるかどうか、政府の機関の期待を満たせるかどうかといった要因によって決まるということを云っている。

市民がオンブズマンに対して特に重要な要件として強調するものは、アクセスが得られること、迅速・円滑な処理がされること、信頼性があること、官と民を平等に扱ってくれること、責任性(責任の所在)が明確であること、などであると思う。一方、政府、公共機関がオンブズマンの資質として特に強調するのは、強制的な態度をとらないこと、公正な偏らない対応をすることであると思う。つまり、オンブズマンには費用(コスト)がかかるわけであって、それが本当にコストとして見た場合に高いものにつくのか、高くないものにつくのかといったことも考えてくるわけである。

様々な社会の機構を管理するという観点から政府、公共の当局は、オンブズマンが成熟したもの(maturity)として、一つの制度として、どれくらい有用性を持つものかということを考える。そうした環境の中で多くの国々では、今、オンブズマンに対して新しい機能が付加されている。例えば人権擁護の機能などがそれである。

また、意思決定の在り方に対する検討を行うこと、プライバシーの問題をどう解釈するか等について実際の行動綱領を提示するという形で、オンブズマンは非常に有用なサービスを提供できるのである。世界の中で不利益な立場に置かれている人々に対するサービスを向上すること、子供や高齢者のニーズに特に焦点を当てることなどができる。特に最近オンブズマンの機能として認識が高まってきたのは、政府の責任(accountability)あるいは信頼性を向上させるということである。

今まで話したことがよきオンブズマンたる非常に本質的な資質であったわけである。そして、こうしたものを土台として世界のあらゆるところで今、オンブズマンが進展を見せている。例えば、新たに民主国家として台頭してきた、あるいは民主国家に今変遷しつつある国々においても、オンブズマンが成立しつつある。また、今まで地方、地域に限ってのオンブズマンのみを持っていた国々が、国レベルのオンブズマンを持つようになったということもある。

まずオンブズマンの最初は、議会オンブズマンとしての働きがあったわけである。それが非常に成功裡に進んだということを土台にして、今や特別な目的に集中した、特化したオンブズマンあるいは企業オンブズマンといったものも作られている。今ではオンブズマンの管轄権が非常に広範に広がり、また、非常に多様な多岐にわたる働きもするようになった。したがって、そうした管轄という面で比較するというのであるならば、議会オンブズマンに絞るということではなくなっている。

 

オーストラリアの場合、連邦制度をとっており、9人のオンブズマンが設置されている。すなわち、9つの州であるとか連邦といった異なる政治体に対して1人ずつ置かれているわけである。したがって、非常に多様な管轄権があるわけで、管轄権そのものが変わっている。それらは共通のエリアに対しての働きもしているが、それと同時に、それぞれの政治体、例えば州に限ったいろいろな分離した別個の立法的な措置、仕組みがあるので、それらに対して特化した独特の異なるアプローチをとるということもある。

 

 

 

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